小切手と手形、見た目は良く似ていますが、その用途や内容は大きく違います。
ここではその違いについてお話ししようと思います。
商売取引で欠かすことのできない小切手、手形、仕事をする上で欠かせないものとなっていますので、この機会に整理してみてください。
小切手とはどんなもの?
小切手は『現金』の代わりに使用される1枚の紙です。
これ1枚で多額のお金のやり取りができます。
考えてみてください。あなたがお金を100万円会社に持って帰らないといけないとします。
これを手持ちで持って帰ると、重量的にも、危険性からも現実的ではないですよね?
こんな時に、紙1枚で持ち運ぶことができる利便性から小切手は様々な取引で使用されています。
小切手は小切手を発行した人(振出人と言います)が、記載された金額を支払うことを約束した証券です。それを渡された人(受取人と言います)は、それを銀行に呈示することで、現金の支払いを受けることができます。
実際の小切手について見てみよう
小切手ですが、銀行から小切手帳というものを購入します。
購入した際は、下記のようになっており、黄色い部分が発行元の控えになり、ピンク色の部分が先方に渡すものとなっています。
①小切手番号 小切手帳の控えにも記載して、どこに出したかを確認する為に用いる
②振出日 小切手を振り出した日、無記載でも使えるが、先の日付の場合(先日付小切手)は注意が必要
③振出金額 チェックライターか漢数字で記載 『¥』、『,』、『※』の位置に注意
④渡し先 どこに渡したかの渡し先を記載する
⑤適要 何の為に発行したかなどを記載
⑥支払地 支払人の所在地
⑦支払銀行 小切手を振り出すための当座預金口座がある銀行名
⑧支払委託文句 小切手を金融機関に持ってきた人にお金を渡すように指示する委託文
⑨小切手整理番号
⑩振出人 振出人の当座預金口座の名義と、銀行届の銀行印
⑪拒絶証書不要 拒絶証書は作成しなくてもよいということを表しています
⑫振出地
小切手のルールについて
小切手を用いるには、何点かのルールがあります。
①小切手を用いるには、銀行に『当座口座』を開かなくてはいけません。
小切手のお金の支払はすべて当座口座から行われます。
当座口座を開き、小切手帳を銀行から購入することで使用することができます。
もちろん、その際には当座預金に振出す小切手金額以上のお金が入っていることが必要です。
②小切手の受取人は振出日の翌日から数えて、10日以内に銀行に小切手の呈示をしないといけません。期日を過ぎても、振出人への銀行からの確認処理があれば、現金化できるのですが、通常は10日以内に銀行に持ち込むこととなっています。
③小切手には、振出人の銀行口座がある銀行と支店が記載されてあります。同じ銀行、支店に小切手を持っていけば、現金化してもらえます。
ですが、小切手に記載の銀行でなくても、小切手を呈示することで、銀行間で取立て処理を行ってもらえます。この処理を行ってもらったとき、自分の銀行の通帳には呈示した小切手の金額が入ってはいますが、概ね3日程度、資金として使うことができないことを覚えていてください。
④小切手には線引き小切手、特定線引き小切手というものがあります。
線引き小切手は、小切手の左上、もしくは右上に2本斜めに線を入れた小切手をいいます。
特定線引き小切手は、線引き小切手の2本線の間に特定の銀行名が記載している小切手です。
小切手を落として、本来渡すべき相手以外の人が受け取った場合を考えてみてください。
小切手はその性質上、銀行に持ち込みさえすれば、誰でも現金化してもらえます。
ですが、落とした小切手を現金で第3者に手渡されると、そのお金の行方の確認が困難になってしまいます。
小切手に線引きをすることで、現金手渡しができなくなり、小切手を呈示した銀行の口座にお金を入金することが決まりとなっています。そのため、銀行にも記録が残るので、ほとんどの小切手は線引き小切手となっています。
特定線引き小切手とは、銀行をも指定した小切手で、記載された金融機関の口座にしか入金することができません。
⑤振出日は空欄であったり、小切手を振り出した日であることが通常ですが、時に振出日より先の日付が記載された小切手があります。その小切手を『先日付小切手』といいます。
先日付小切手は振出人、受取人の信頼関係に基づいて受取人が先日付でした日以降に銀行に呈示して資金化してもらうことを約束した小切手です。ですが、受取人が振出日前でも銀行に呈示すれば支払いを実行してもらえます。そのため、小切手の不渡りが生じることがあるので、これについては振出人、受取人ともに注意が必要です。
小切手の取引の流れについて
小切手が商取引上で使用されるイメージを図示します。
このような流れで小切手は運用されています。
小切手記載の銀行で呈示をすると、③と④の処理がなくなるため、すぐに資金化されます。
まとめ
小切手は紙切れ一枚で多額のお金を行き来させることができるので、大変便利なものです。
種々のルールなどはありますが、今の商取引上多くの場面で使用されています。
次の章で紹介する手形も見た目は良く似ていますが、何点か相違点がありますので、ここでは小切手の特徴について覚えていてください。